研究目的

本研究は、宇宙空間への人類の進出が同時代的な課題となりつつある今日の世界にあって、「地球」という限定された空間を超えて、「宇宙」という新たなフロンティアから人類を見つめ直す「宇宙人類学」という新しい研究領域の開拓を目的としている。この際、次の3つのアプローチをとる。

  1. グローバル化という現在進行中の歴史現象の延長の上に宇宙開発の問題をとらえ、宇宙開発を支える世界観を「近代」や「ポスト近代」の問題と関係づけながら、「近代」を超える可能性を探る。
  2. 人類学がこれまで培ってきた方法論や概念装置が、「宇宙」という新たな領域において有効性を発揮しうるかどうかを検討する。
  3. 宇宙開発によって人類の多様性がいかに進展しうるかの可能性について検証し、宇宙開発の現将来に資するヴィジョンを示す。

本プロジェクトは、日本文化人類学会が設置する、「会員相互の研究交流を促進するとともに、学会を越えた外部の研究者との研究交流を促進し、その研究活動成果を広く学界や社会に周知・還元すること」を目的とした、課題研究懇談会のひとつである。課題研究懇談会は、2012年度から4年間にわたって活動する。

JAXA種子島宇宙センターの大型ロケット発射場